ウィズと相場、時々読書を楽しむブログ

メインはウィズと相場情報を、時々読書をゆる~く取り上げていきます。

【残穢】【蟹工船】

 ブログタイトルに「時々読書を楽しむ」としておきながら、これまでなかなか本についてアップすることが出来なかったけれど、かなりスローペースで読んではいました。

 

今後、ゆ~くりと読んだ本の感想を都度あげていきたいと思います。

尚、評価については、あくまでも個人的な偏見や感想が多いに含まれますので、悪しからず。

 

 残穢

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ジャンル:ホラー

 評価:7.0

賃貸で入居している部屋で不気味な物音が聞こえたり、何かが見えたりという、いわゆる事故物件について、その原因を怪談専門のライターである主人公と住人が追っていくという心霊系ホラー。
随所にゾクリとさせる描写は、代表作の「屍鬼」を思い出させるが、全体的には淡々と話は進み、肝心の怖さは至ってマイルド。不可解な事象が起きる物件では、一体昔何があったのか?その土地の歴史を昔から住んでいる周囲の住人に聞き取り調査をしていくのだが、その過程での登場人物がとても多く、一人一人の掘り下げも少ないため、序盤は誰が誰か混乱し、やや退屈気味か。後半でもしばしば前半に少し触れた人物が突然出てくるため、「あれ?この人誰だったっけ?」と混乱することが多かったように思う。
現代から戦後へと遡って、不可解な事象についての関連性を終始調べていくのだが、物語の終盤に確信に迫る際も、盛り上がりはいま一つの印象。
それ程、強烈に怖い!と思えなかったのは、個人的に霊的な怖さがピンと来ないからかもしれない。ただ、引っ越しする前には読みたくない本かもしれない。

 

 

蟹工船
【一九二八・三・一五】 

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ジャンル:プロレタリア文学

評価:6.0

戦前における劣悪な環境に喘ぐ労働者(プロレタリア)の話。非常に読み難い。
特に蟹工船では登場人物がほぼ北海道訛りで会話するため、内容を理解し、消化するのに一苦労。
戦前の文学である為、所々に分からない単語や理解出来ない表現があり、読み始めの頃は都度調べていたが、あまりに多く、そのうち分からない単語は深く考えずに「こういうことだろう」と流して読んでいた。
これは蟹工船、一九二八・三・一五共に言えることであり、まるで英語の長文を読んでいるようだった。
ただ、今の時代でもブラック企業は存在し、安い労働力を搾取される構図は少なからず残っていることや、100年も経過していない過去に、特高警察による赤狩り、拷問が現実として在り、また、作者の小林多喜二もその拷問により亡くなっていることから、労働者、いわゆる弱者のリアルな心情が読んでいて重く圧し掛かる。
内容的には決して面白いものではないが、読後、過酷な環境を強いられる側も、理不尽な要求を強いる側もその環境に慣れ、違和感がなくなっていく怖さを感じる。その慣れこそが、現代におけるブラック企業等の温床になるのでは?
と考えさせられた。理解できない部分を何となく、で読み進めたが2、3度読み返せばより理解出来そうな気はするがそれには少し気力が必要かもしれない。。